仏像は制作年代によって特徴がある?時代ごとの仏像の特徴をご紹介
仏像は制作年代によって特徴があります。使用されている素材や仏像の体型・表情など、時代によって異なるのです。中国から伝来し、独自のスタイルを形作っていく変遷もわかります。また制作年代による特徴がわかれば、寺院で仏像を見た時に、制作された時代が推測できるかもしれません。ここでは仏像の制作年代ごとの特徴をご紹介します。
仏像の制作年代ごとの特徴
仏像は制作年代ごとに特徴があります。中国から伝来した当初は中国の影響を強く受けていたり、貴族好みの上品な作風であったり、武士社会を反映する力強い作風であったりなどさまざまです。飛鳥時代から順に特徴を見てみましょう。
飛鳥時代
飛鳥時代に中国や朝鮮半島から仏教が伝来すると、日本でも仏像が制作されるようになりました。伝来直後は、釈迦如来と弥勒菩薩、観音菩薩の仏像のみが制作されていました。この時代の仏像には、北魏様式と南梁様式の二つのタイプが存在します。北魏様式の特徴は、左右対称の幾何学的な衣文、アーモンド形の目・仰月形の唇があげられます。一方南梁様式の仏像は、柔和な顔や姿が特徴です。
白鳳時代
白鳳時代になると仏像の種類が増え、南アジアやインド風の仏像も制作されるようになりました。この時期には、明るく若々しい作風の金銅仏が多く見られます。金銅仏の特徴としては、大きな頭とずんぐりした体形・子どもっぽい顔立ちがあげられます。一方で木や土で作られた仏像は、どっしりした体型ときりっとした顔立ちが特徴です。
天平時代
天平時代には国が寺院の建立や仏像の造営、仏教の普及に力を入れたため、仏像制作の技法も発展しました。この時期の仏像は、中国の作風に日本独自のアレンジの加えられたスタイルが特徴です。写実的で美しい体型の仏像が多く見られます。
平安時代初期~中期
平安遷都以後は、木像が主流となりました。密教が盛んになり、多面多臂の明王像などが数多く制作されています。これらの仏像は、豊満な体形と切れ長の目が特徴です。衣服の表現には、大小の波をリズミカルに彫った翻波式衣文が用いられました。
平安時代後期
平安時代後期に遣唐使は廃止され、和様彫刻が中心となりました。とくに仏師の定朝による「定朝様」が主流となります。定朝様の特徴は、背中をわずかに丸めた自然な姿勢と、伏し目で丸顔の穏やかな表情・優美な体型です。また末法思想の影響で、大規模な仏像群も制作されました。
鎌倉時代
鎌倉時代には、武士の気風を反映した力強く写実的な仏像が人気を集めました。東大寺南大門の金剛力士像のような巨大な像も作られています。鎌倉時代の仏像は、水晶をはめ込んだ眼や歯・舌など細部まで丁寧に作り込まれ、金属製の装飾品の多用されているのが特徴です。
室町時代~安土桃山時代
室町時代~安土桃山時代にかけては、鎌倉時代以前のように目立った仏像は制作されていません。単調な造りの仏像が多く、作風に落ち着きが見られます。
江戸時代
江戸時代からはキリスト教禁止の一環として、檀家制度が取られるようになりました。国民すべてが仏教徒となったため、制作される仏像の数も増加しました。お坊さんによって制作されたオリジナリティ溢れる仏像もありますが、好まれたのは定朝時代や鎌倉時代、室町時代のような伝統的な仏像です。
仏像の素材による分類
仏像は素材によっても分類されます。仏像に用いられる素材は、大きく次の5つです。
金属
金属製の仏像は、金銅仏と呼ばれます。銅と錫の合金の青銅を用いたものが主流であるものの、まれに銀を用いて制作された仏像もあります。また中世には東日本を中心に、鉄を素材とした仏像も制作されました。
粘土
粘土は比較的造形しやすく安価であることから多用された素材ですが、脆いという特徴があります。木の土台に粘土を盛り上げて形成する塑造や、粘土をかたどりして焼き締めるせん仏があります。
漆
漆は重量が軽く繊細な造形のできることから好まれた素材です。脱活乾漆造と木心乾漆造という2種類の制作技法があります。
木
日本の仏像で最も一般的な素材は、木材です。主に檜が用いられているものの、他にも楠やカヤ桜・桐などが用いられます。最もシンプルな技法は、一つの木から彫り出す一木造りですが、やがて複数の材を組み合わせる寄木造が多くなりました。寄木造では大きな像を作ることが可能で、内部を空洞にすることで重量を軽減できます。
まとめ
仏像は制作された年代によって技法や使用される素材も異なり、時代背景も見えます。仏像の制作年代ごとの特徴を知り、長い歴史に思いを馳せるのも悪くありません。仏像への興味も高まるでしょう。
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